
中古工作機械の“整備済み”とは?
中古工作機械を探す際、多くの方が気にする言葉が「整備済み」です。しかし、この表現は販売会社によって意味が異なり、実際には“清掃のみ”から“精度測定・部品交換・動作確認まで行ったもの”まで幅があります。
ここでは、中古機における「整備済み」の実態と、判断のための基準を整理します。
1. 中古機における「整備済み」の意味
整備とは、機械が安定して動作できるように点検・調整・修理を行うことです。
中古機市場には明確な統一基準がないため、整備内容は会社ごとに異なります。
一般的なレベルは次のとおりです。
- 清掃中心の整備:外観クリーニング、油脂類補充
- 標準整備:可動部点検、消耗品交換、基本動作の確認
- 高度整備:精度測定、必要な部品交換、試運転、結果の提示
重要なのは、どこまで整備しているかが文書や説明で明確にされているかどうかです。
2. 整備の基本工程
中古機の整備は、一般的に以下のような工程で行われます。
① 初期診断
- 主軸・軸送りの異音チェック
- 油漏れ・錆・摩耗確認
- 電装・配線状態
- アラーム履歴確認
② 分解・清掃
- カバー類取り外し
- 切粉・油汚れ除去
- グリス固着洗浄
- 破損・クラック目視確認
③ 消耗品・劣化部品の交換
- フィルター・オイル
- ベルト・ブッシュ類
- 主軸冷却ファン
- CNCバッテリー
④ 精度測定
【 測定内容の例 】
- 主軸振れ測定
- X/Y/Z軸バックラッシ
- 真直度・直角度
- テーパー部状態
【 使用される測定器例 】
- ボールバー
- レーザー測定器
- ダイヤルゲージ
⑤ 試運転・動作確認
- 主軸回転
- 軸送り動作(全ストローク)
- ATC動作
- 簡易プログラムによる自動運転
3. 「整備済み」を見極める判断基準
① 整備内容が文書化されているか
- 点検項目
- 部品交換履歴
- 測定項目
② 精度測定結果が提示されるか
主軸振れやバックラッシなどの具体的な数値は、機械状態を判断する上で非常に重要です。
③ 動作確認動画があるか
加工デモができなくても、主軸回転、送り、ATCの基本動作が見えるだけで状態が把握しやすくなります。
④ 整備担当者(会社)の専門性
- 工作機械整備の経験
- 過去取扱台数
- 技術者の熟練度
4. 整備基準の透明化が重要な理由
中古機市場では整備レベルが統一されていないため、購入者は実際の整備品質を判断しにくい状況があります。
- 「整備済み」と聞いたが精度が回復していなかった
- 消耗品交換がほとんどされていなかった
- 基本チェックのみで精度測定が行われていなかった
5. まとめ
中古工作機械における「整備済み」とは、 点検・清掃・部品交換・精度測定・試運転などを体系的に行い、その内容を説明できる状態 を指します。
購入時は次の点を確認すると状態が判断しやすくなります。
- 整備内容の説明が明確か
- 測定値が提示されているか
- 動作確認動画があるか
- 整備者の経験・実績
これらの情報が揃っているほど、実際の稼働状態やコンディションが把握しやすくなります。
6. 整備済み中古機に関するFAQ
より理解を深めるための補足として、よくある質問をまとめました。
A. 点検済みは状態を確認した段階であり、整備済みは調整・交換・測定・試運転まで行った状態です。
A. 主に「整備内容の明文化」「精度測定値」「動作確認動画」の3つが大きな判断基準になります。
A. 主軸振れ、バックラッシ、直角度など加工精度に直結する情報が得られるため、もっとも重要な確認項目です。
A. フィルター、ベルト、ブッシュ、冷却ファン、CNCバッテリーなどが代表的です。劣化が進みやすいため交換が多く行われます。
A. 動作の滑らかさ、異音、ATC動作の正確性など、数値だけでは判断できない部分を確認できるため非常に重要です。
A. はい。外観清掃のみのケースもあるため、測定実施の有無は必ず確認すべきです。
A. 測定値の差、整備内容の具体性、交換部品の有無、動作の状態などを比較することが重要です。


